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仙台高等裁判所 昭和24年(を)317号 判決 1950年6月22日

被告人

千代谷広

主文

原判決を破棄する。

本件を靑森地方裁判所八戸支部に差し戻す。

理由

原判決は主文において押收物件は全部沒收する旨を言渡しているのであるが、記録によれば右押收物件は前段説明の押收品たることが明らかであるところ、右物件については原判決が米軍所有と認定しているのであり、かかる物件の不法所持については、他から形式的な讓渡がありとするも、その相手方においてこれが所有権を取得するに由なく、依然として所有権は米軍に属しているものであると解すべきであるから、これについては刑法第十九条第二項を適用することができないものである。従つて原判決が右条項を適用して前記押收品につき沒收の言渡をしたのは法令の適用に誤がありこの誤は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、原判決はこの点においても破棄の事由がある。

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